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社会保険労務士飯田事務所ロゴ

一寸先の将来は分からない

2020/12/01

都心の空

皆さんこんにちは。

夕方になると眠気に襲われ、早寝早起きにより朝3時頃から活動を始めるというペースが続いている所長の飯田です。静かな時間帯は目の前のことに集中ができて良いのですが、その集中を有効に使えているかと問われますと、どうなのでしょうかね。

今回はとある派遣会社様の話です。

つい先日
とある派遣会社の代表者様にお会いしてきたところ

「もう法人を清算しようと思うのです。仕事が無くなってしまいました。」
とのこと。

詳しく話を伺いますと、
なんでも雇用調整助成金を申請しながら急場を凌いでいたところ、資金が底を尽きてしまったそうなのです。事実かどうかは定かではありませんが、「雇用調整助成金は、事業が立ちいかなくなる可能性がある会社には支給がしてもらえなくてね」というお話をされていらっしゃいました。

会社の経営状況により雇用調整助成金の支給が否認されるということは見聞きしたことがありませんが、恐らく、申請ができない経営状況(人がいない・管理ができていない)に陥ったのではないかと思われます。


年商2億円程度の会社であり、金融機関からの借入は2,000万円弱程度。
事務所は賃貸で済ませている他、大きな固定資産も無く、コロナ前の時点では、流動比率も230%程度ある状態にありながら、わずか半年で借入金の残高の返済もできないような状態に陥ってしまいました。


派遣先が少数であり、うち1社への依存度が極端に高く、その派遣先からの依頼が無くなってしまったことが大きな原因とのことでした。



数年前から
「社長、1社依存は危険ですから、小さな取引でも良いので取引先数を増やしていきましょうよ」、こんな具合で提言差し上げたのですが、代表者は70代、右腕となる方も現状維持の方に目が向いてしまい、この提言が浸透していく様子には至りませんでした。
予期しない社会状況の変化が生じ、僅か数年内にこのような状況に陥り、法人は精算し雇用されていた方々は全員が解雇ということになってしまったのです。

進路の分岐点において、望ましい進路への助言を示しても、それが受け入れられるかどうかは別であり正しいかどうかが意思決定を決めるものではないということと、雇用数を維持しようと雇用調整助成金での資金循環を目指した結果、資金が枯渇し全員を解雇にしなければならない進路に辿り着いてしまったという進み方にも一考させられるものがあります。




今は良くても明日はどうなるのか分からない。
これは事業活動の真髄なのかもしれません。

書いた人
飯田 保夫

社会保険労務士飯田事務所 所長。1981 年埼玉県生まれ。信州大学経済学部卒業、埼玉大学大学院経営管理者養成コース修了。法人の社会保険・ 労務管理支援のほかに、補助金や助成金を活用した経営改善の専門家として、首都圏を範囲に活動。役職:一般社団法人 日本介護福祉支援機構 監事など