上へもどる

社会保険労務士飯田事務所ロゴ

短期連載:中小企業の就職活動②~とがった採用募集編~

2018/02/07

皆さんこんにちは。

社会保険労務士飯田事務所の前嶋です。

前回から始まったこの連載、今回は真ん中の第2回をお送りします。

 

第1回では中小企業は戦国時代という例えから大企業の採用活動を真似ても中小企業にとっていい人材とは出会えない、というお話、そして採用基準は事業主が育てたいかどうかである!と断言して終わりました。今回は実践編です。

どうしたら求める人材に出会えるか、その具体策をご紹介します。

採用募集は届いてほしい人にだけ届くように書く!

中小企業の採用活動において強い味方といえば、ハローワークの求人掲載です。もちろん、今の時代ハローワークの求人掲載だけではなかなか応募者は来ないので、有料求人サイトや自社ホームページに採用情報欄を設けたりして、皆さん努力されているかと思います。

けれどその採用情報、本当に充分な記述でしょうか?

求人情報は確かに多くの人の目に留まるものです。しかし、本当に届いてほしい人に届かなければ、何の意味もないのです。

例えば、こんな記述だけで終わっていませんか。

・募集条件

・賃金・待遇

・仕事内容

・連絡先

これらは確かに必要な情報ですし、書き漏らしてはいけないことです。

しかし、この4つの項目だけを読んで、求職者は皆さんの会社をイメージすることはできるでしょうか?

そこで大事になってくるのが、求める人材像と会社概要なのです!!

 

求める人材像と会社概要こそ力を入れて書く!

求める人材像と会社概要は求職者を引き寄せる引力を持っています。

砂鉄と磁石を思い浮かべてください。

求職者が砂に埋もれる砂鉄だとしたら、求める人材像と会社概要はその砂に突き立てられる磁石なのです。

磁石を砂から抜くと砂鉄だけが磁石につきます。

つまり、「こういう人が欲しい!」「こういう人を雇いたい!」と求める人材像に、「うちはこういう会社!」「ここはうちの会社の強み!」と会社概要に具体的に細かく書くのです。具体的であればあるほど、効果は強くなります。

例えば「やる気がある人大歓迎!」と書いても誰にも刺さりません。あまりにも抽象的すぎます。

しかしこれを、「3年で何が何でも社労士になりたいという方。石にかじりついてでも労務のスペシャリストになりたい方、待ってます!」と書いたらどうでしょう。

私労務には興味ないので……という方には全く刺さらない求人になりました。

それでいいのです。

社労士を目指していたり、労務のスペシャリストになりたい、その中でも本気の方だけが応募してくる求人。

この○○な人に刺さる感覚、これこそが求人募集に求められる一番大事な情報なのです。

 

でもそんなの思い浮かばない……どうすればほしい人材に刺さる採用募集は書けるのか……。

安心してください!この方法でまずは考えてみましょう!

求める人材のペルソナ(具体的なイメージ)を作る!

さて、ここでなぜペルソナ?と思った方も多いでしょう。

ペルソナ…… 商品開発の際に設定する架空の人格。名前・年齢・性別・趣味・住所などから始め、細部に至る人物像を作りだし、その人格に感情移入することで、ユーザビリティーに優れた製品・商品の開発に結びつける。(デジタル大辞泉より引用)

そうです。本来ペルソナとは商品開発をする上で設定する架空のユーザーのことを表します。

恥ずかしながら、前嶋はこの言葉を最近ドラッガーの『マネジメント』について書かれた本で知りました。

そしてこれは採用募集を書く際にも応用できるのではないか!?と閃いたのです。

具体的な方法はこのようになります。

①入社してほしい社員像を、年齢、性別、家族構成、求める能力、入社後入れたい部署、受け持ってほしい仕事……など細かく設定します。

② その細かく設定した人物がどうしたら自社に入社してくれるか考えます。

どんな言い回しに心惹かれるか、どんな条件なら喜んで自社を選んでくれるか……ここを考えることがペルソナ設定の意義があります。ここにどれだけ力を注げるかで、その採用募集の成否は決まると考えてください。

③その条件を盛り込んだ採用募集を作成します。

後は実際に採用募集を作成して、応募者の反応を見ます。食いつきがよければ設定したペルソナも、そのペルソナに刺さる条件もうまく分析できているという証拠です。

④反応が悪かったら①~③を繰り返します。

ちゃんとペルソナに刺さる条件を盛り込んだ採用募集を作成したのに応募者が来ない、あるいは見当違いの応募者が来た、という場合、ペルソナの設定が甘かった、あるいはペルソナに刺さる条件の設定が甘かったかのどちらかです。そうなったら2週間以内に採用募集の記事の内容を改変しましょう。2週間、というのはあくまでハローワークを利用した時を想定しています。

ハローワークの採用募集は約2か月間掲載されます。

そして毎日山のように出される採用募集によって、古い求人はどんどん閲覧しにくい古い情報として埋もれていきます。

それを唯一防げるのが、記事の修正を行った時なのです。

記事を修正すると、またハローワークのホームページで一番上に掲載してもらうことができます。

1週間毎で改変を行ってしまうと、逆に求職者から「この募集しょっちゅう条件変わっている」と思われ、忌避される可能性があります。

1か月だとそもそも閲覧している求職者は「まだ募集しているの?」と思い、これもまた応募を忌避する要因になります。

2週間。これが一番いい塩梅の修正期間だと前嶋は思います。

 

さて3つの柱でお送りしました、とがった採用募集編。今回はこれで筆をおくことにいたします。

次回、連載の最終回「面接編」でお会いしましょう。