2022/11/03
皆さんこんにちは。
体調が完全に戻った、というよりもコロナり患前よりも快活になっているのではないかと思われる所長の飯田です。
滑川町内の山あり谷あり釣り池ありの山間コースをジョギングしているのですが、なんと!10.6㎞を完走できるような持久力がついてきました。呼吸は苦しくなく多少の余裕があるのですが、足の筋持久力はもう少し鍛えたいです。15㎞くらい走れるように追い込んでいきます。体を鍛えつつ軟弱なメンタルに喝を入れていきます。
さて
そんなスポーティーな私の下に「退職後の競業避止」についての相談が舞い込みました。
“退職後の転職をどこまで制限できますか”
という企業担当者様からのご相談でした。
日本の最高法規と言われる日本国憲法には職業選択の自由が謳われています。(憲法の生成については多様な論がありますが、今回はひとまずそれらには触れません)
つまり僕たちはどの職業を選ぼうが自由であることが保障されているわけです。
企業で働きたかったらそうすれば良い
自営業をやりたかったらそうすれば良い
家業を継ぎたかったらそうすれば良いetc.
自由に選べるわけです。
しかし
企業側という立場で考えてみますと、
「うちで培った技術や知りえた営業秘密や顧客情報を競合他社で使われてしまっては困る!」
こういった側面があることも理解できます。
実際に、競合社への転職制限は、いくつかの判例等があるということが示しているとおり、巷では起こりうる問題の一つです。
従業員側からしますと、転職活動は、それまでの自分のキャリア価値を利用して行うべきものでもあるでしょう。全くの未経験の世界に飛び込むこともあるでしょうけれど、転職者本人も企業側も、その転職者のキャリアの価値を測定した方が転職活動や採用活動がしやすいというのは周知の事実ではないでしょうか。
そうした転職活動において、
「うちと同じ競合他社への転職は禁ず」と定められていたら、
転職活動は極端にしづらいですよね。
“どこまで転職を制限できるのか”
ここが争点になってきます。
ここでお問い合わせに答えるべく私が参考としたのが
経済産業省の『競業避止義務契約の有効性について』という資料です。
人事労務に関して厚生労働省ではなく、経済産業省から資料が発布されているという点がこの資料のメッセージにおけるミソなのです。
それは
競業避止において考えるべき事項はよりビジネスライクな内容に近しい点にある ということだと私は受け止めました。
どいうことか。
という6つの観点
詳しい説明は省きますが、
これら6つの根底にあるコア(核)になっているのは、
~その競合先への転職活動が企業や従業員にとってどれだけ経済的影響を与えうるのか~
というものと読み解きました。
企業にとって経済的影響が大きいのであれば、競業避止の定めは有効性を得られやすく、
従業員にとって経済的影響が大きいのであれば、競業避止の定めは有効性が得られづらい
そう、
核になっているのは 経済的影響の大小 に着地するのです。
レジ業務をやっているような学生アルバイトが、近隣他社のレジ業務に転職したからといって、企業側に大きな経済的影響は生じづらいと言えます。その点、誰でも彼でも対処として競業避止の定めを敷くことは合理性に欠けると言えるでしょう。
エリアマネージャー職であった者が、元の職場の仕入先情報や営業秘密をもって他社の競合先に就職することは、企業側にとって経済的影響が生じやすくなってきます。このような例では、一定度の競業避止の定めを敷くことは有効性を得られやすいと言えます。
現代に目を向けますと、円安が進み、諸外国の人材も日本を選ぶという選択肢が減っている産業もあるようですが、人の争奪戦が生じている産業も多数あります。
そのような中では、潔癖な競業避止を成立させるのは無理があるかもしれません。
近年では、在職中の副業や兼業を認める動きも拡がりつつありますから、そうしたものと競業避止とのバランスのある定め方を考える必要も出てきそうですね。
(独り言)
例えば、リクルート社のように、自社を卒業した人材をその後も支援したり取引を締結するような関係性を構築するという企業文化がありますと、競業ではなく協業となり、チーム日本としても望ましいことではないかと思われます。