2018/02/13
皆さんこんにちは。
社会保険労務士飯田事務所の前嶋でございます。
今回でこの連載も最終回……。お役に立てるものが書けているのかどうか手探り状態で進めてまいりましたが、最後まで突っ走ってみようと思います。
最終回の今回は面接編です。
理想の人材確保に向けて、面接ですべきことは何か、それをお伝えしようと思います。
まず、面接を行う前に最初の大前提、面接日の設定についてお話します。
皆さんの会社では採用募集を見て応募者が複数人集まった時、どのように面接日を設定していますか?
随時ですか?
それとも何日かに分けてですか?
それでは面接が失敗する可能性が大きいです。
ではどのように行うのが正しいのか。
候補者全員、一日でまとめて行うのです。
人間の脳はとてもいい加減です。5人候補者がいたとしたら、どうしても最後に面接した=記憶が一番新しい5番目の候補者の印象が強く残ってしまうのです。それを防ぐためにも候補者がある程度集まった時点で1日で集中して面接を行うのがよいのです。
もちろん、この採用面接には第一回で書いた通り事業主さんの参加は必須と思ってください。
事業主さんが欲しいと思う人材、育てたいと思う人間こそが、採用すべき人材なのです。
さて、一日で候補者全員を面接するという面接日の設定の仕方の次は、中小企業の面接の意義について考えましょう。
確かに私は第2回の採用募集の際、皆様に求める人材像を明確に、とか、必要な人にだけ刺さる、とか、want(~な人が欲しい)条件を意識して採用募集を作ろう、と伝えてまいりました。
しかし、面接は逆です。
面接ではmust(~な人でなければならない)を重視して面接を行いましょう。
ここでいうmust条件とは、自社でやっていくのに絶対必要な条件のことです。例えば、私たちのような事務仕事ですとパソコンのスキル、特にWordとExcelが使いこなせるだけの技量は必須です。どんなに良い人材でも、Wordを触ったことがない、Excelを開いたことがない、という方ではなかなか実務を任せるのは難しくなってしまいます。
また、社風に明らかに合わない人材も採用しない方が賢明です。
和気あいあいと休み時間にコミュニケーションをとるのが常態化している中に、静かに自分の時間を楽しみたい、という人間が一人入り込むと、やはりなじむのに時間がかかり、元からいた従業員さん達も新しく採用された方も強いストレスを感じる日々が続くことが容易に想像されます。
会社は友達を作る場では確かにありません。しかし、無駄な軋轢を生んでまで新たな人材を投入する必要は、ないのです。
中小企業は常に戦国時代だと思え、と第一回で申しましたが、戦国時代だからこそ、事業主と従業員が団結して会社を盛り立てていく必要があるのです。能力や経歴がいかに魅力的でも、できあがっている環境を壊す危険因子を招き入れる必要はないのです。
ですので面接の際、事業主以外の面接担当者がいる場合は、面接担当者全員でこのmust条件のすり合わせを行うようにしてください。
最後に面接をして一番遭遇すると思われる事態についてお話します。
採用募集もきちんと書いた、応募者も来た、面接日を決めて面接を1日でまとめて行い、落とすべき人材は落とした。
しかし、この人!!という人材には残念ながら出会うことはできなかった……。
実はこのケース、少なくありません。いや、むしろかなり多いです。
そんな時どうしたらよいか?
答えは、次点で良いと思えた人間を採用することです。
もちろんこの時落とすべき条件に該当していない人材で、かつmust条件をほとんど満たしていることが前提です。
人柄はいいけど経歴や能力が足りない、ということで迷っているなら、採るべきです。
経験は自社で積ませればいいのです。
能力は、事業主が伸ばしてやればいいのです。
中小企業において、1人の優秀な人材より、1人の平凡な人材の方が数年後優秀な人材をしのぐ力を発揮した、という例はいくらでもあります。
それはなぜか?
大企業と違って、事業主とともに会社を動かしていると肌で感じ、事業主自らが育てたから、その平凡な人材は自社のために、事業主のために、自分のために頑張るからです。
つまり、人材を伸ばすのは事業主のあなた次第なのです。
事業主が魅力的な人物であればあるほど、また事業主のビジョンが明確であればあるほど、従業員たちは事業主とともに同じ方向に進もうと努力することができるのです。
そのためには従業員を不安にさせるような振る舞いをしないこと、常にどういう方向に向かおうとしているか従業員に聞かせることが重要になってきます。
だからこそ、事業主が育てたいと思った人材は、採るべきなのです。
以上で、3回に渡りお送りしてまいりました、連載を終わります。
皆様の採用活動が実りあるものであること、またいい人材といい事業主様が明るい未来を築けることを、弊所はこれからも応援していきたい所存です。
読んで下さり、ありがとうございました。