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変形労働時間制の賃金計算

2021/02/04

節分

皆さんこんにちは。

昨年末に「ブログ更新にもっと力を入れなければ」と言及しておきながら、先月の1月は全く更新をせずに過ごしてしまった所長の飯田です。

ブログの更新は止めてしまったのですが、その一方、ジョギングは計14回距離にして80㎞くらい走ることができ、体力作りは進んでいます。いやはや、同時に事を成すのは難しいのかもしれません。 習慣づけは1ヶ月、変化があらわれ始めるのは3ヶ月。残り2カ月、この習慣を続け、健康的で輝かしい40代を過ごしていきたいと思います。


さて
今回は 変形労働時間制 における給与計算 について書いてみます。


皆様の会社様は、適切な給与計算が出来ておりますでしょうか?


中小企業では自社で計算処理をされている会社様もあれば、社労士・税理士・給与計算代行会社に外部委託をされている企業も多数あります。
当事務所も給与計算代行を基幹業務としております。

「え?給与計算なんて簡単だよね?」
「毎月決まったもので動きも無いから自社で出来ているよ」
「ソフトやアプリを入れたから、うちは完璧ですよ」
「税理士先生に頼んでいるから間違いがない」

このような声が聞こえてきますが、果たしていかがでしょうか。

・その○○手当、割増賃金の計算に含んで計算されていらっしゃいますか?
・1週間が先月と今月をまたぐ場合、週40時間超過の計算を正しくされていらっしゃいますか?

特段の変則的な勤務体系ではなくとも、このような質問に心当たりが思い浮かぶ会社様もあるでしょう。そうです、実際に拝見しますと、計算間違いや認識漏れ等が見受けられるのです。

これらにも増して、変形労働時間制を採用している会社様からはその計算方法について質問が寄せられることがあります。これは私の持論ですが、変形労働時間制を採用しておりますと、正しい時間外労働(割増分)を認識することは、汎用の給与計算ソフトではできないと言っても過言ではありません。なぜなら、変形労働時間制を補完できるようなシステム設計は汎用製品にはコストや売価、ユーザーニーズの問題がありできないからです。その意味では、正しい計算が出来ておらず過不足が生じている事例を多く見受けられます。

変形労働時間制を採用しているとしながらも、計算処理においては、変形労働の処理がされておらず、中途半端な状態に落ち着いてしまっているものも見受けられます。

変形労働時間制における時間外を認識するには、この制度上で求められている、事前に定めた特定の日における労働時間の認識、週合計時間の認識、月合計時間の認識、特定期間の時間認識、年合計時間の認識をすることが必須でして、前述のとおりこれらは汎用システムでは補足できません。実際に、当事務所も業界大手のソフトを利用していますが、コールセンターに問い合わせた所「変形労働時間制には対応できていません」という直接の回答を得ました。

参考に、通常の労働時間制と1ヶ月変形労働時間制を採用した場合とで給与額を比較してみました。事務所内の勉強会で使用するために作成した自作の資料です。

ご覧いただくとお分かりになると思いますが、月の勤務時間数が同じでも、このように金額の相違が生じます。

これはシンプルな例示に過ぎませんが、実社会の皆様方の支払額におかれましては、割増賃金の対象となる諸手当が設けられており時間外の単価が複雑化していたり、固定残業代の制度を導入されていたり、変形労働時間制の採用しているとしながらも賃金計算は全くそれが反映されていなかったり等、「正しい計算がされていますか」と追いますと、答え窮してしまう例も多数あるはずです。


まとめます

給与計算は奥が深い業務です。
できているように見えてるだけかもしれません。
時間外の扱いに対する認識は計算ソフトウェアでは拾いきれません。
ユーザー(計算処理を担当する人間)の認識および処理に頼ることとなります。


労働系の助成金申請を行う際も、法的な観点から正しく計算がされているかという確認が必ず入りますし、ソフトやアプリの少々の設定ミスでもそれが広範囲の多人数に及び多額の訴訟案件と化してしまうケースもあります。

今一度、計算の為の下準備を見直しておきましょう。

書いた人
飯田 保夫

社会保険労務士飯田事務所 所長。1981 年埼玉県生まれ。信州大学経済学部卒業、埼玉大学大学院経営管理者養成コース修了。法人の社会保険・ 労務管理支援のほかに、補助金や助成金を活用した経営改善の専門家として、首都圏を範囲に活動。役職:一般社団法人 日本介護福祉支援機構 監事など