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同一労働同一賃金_柔軟な働き方を加速させるのか制限させるのか③

2019/05/07

トタイム・有期雇用労働

みなさんこんにちは。
ブログ更新を頑張っている 所長の飯田保夫です。

最近、働き方改革に関して皆様の前でお話をさせていただく機会が増えてきた為、見られる側としまして身なり服装に気を付けている飯田です。非常に遅いペースですが、少しずつダイエット効果も出始めています。もう少しスリムになれるように頑張ります。

さて、前回までで同一労働同一賃金について、現時点で公表されているガイドライン等を参照してみました。前回のブログ②回目の終末に、均衡均等待遇というのは一部の非正規の方々が望まない固定的性格を帯びているのかもしれない、というニュアンスのメッセージを記しました。

そしてこのシリーズ最終回では、更に、そのメッセージを深堀して考察を加えたいと思います。

—-望む非正規 と 望まない非正規—-

非正規と言われる雇用形態にたどり着くには、主に2つの経路があると思われます。

一つは、何らか個人的な理由で、短時間、短期間等を自ら進んで求めている方々です。子育てや家事の片手間や、定年後もう少し働けるが第一線で現役並みというのはもう遠慮したい、住宅ローンの残債程度に働きたい等と考える方々です。

もう一つは、正規雇用を目指しているにも関わらず希望するようにならない方々です。これは社会問題であり、本人のみでもなく・企業のみでもなく・国策のみでもなく、これら全てがバランスを取りながら解決を目指していくべきものであります。

同一賃金の話題において、“非正規の賞与と責任性” という点を話題の素材として進めて来ましたが、自ら進んで非正規という雇用形態を望んでいる者にとってみれば、業務成果に対して責任を負うまでの働きは考えていないという方々もいらっしゃると思うのです。こうした考えを持つ層がどれだけいるか全数調査を行わないと分からないところではありますが、恐らく彼らの目的は、社会に出ることそのものが生きがい、家族以外の他者と会話すること等、もっと手前にあるのです。

企業は営利集団でありながらも、こうした営利追及という目的から離れたところでも社会的に機能や効果を果たしていると思うのです。
そこに、(「本来の」というべきか)営利追及のみ、近視眼的のみで考えてしまう契機として、同一労働同一賃金が当てはめられてしまうと、それは全体が望ましくない方向に進んでしまうのではないかと飯田は個人的に危惧しております。


—-ではどうしたら良いか—-

責任を問われる成果を望まない層に対しては、上手な賃金設計を行うこと。これがゴールなのではないでしょうか。最も避けたいこととしますと、同一労働同一賃金の制度を表面的に捉えてしまい、企業の持つ柔軟性を失ってしまう事態に陥ることです。
今の国際経済情勢下では、日本型雇用がミスマッチを起こしている部分もあるのでしょうが、さりとて、表面的な取り繕いで日本の地位復帰を目指すことは個人的には賛同できません。

日本型雇用の良い点を追求し、どうしたらこの不確実な環境の中で長所を生かすことができるかから考えをブレイクダウンしていき、人事制度や賃金制度を見直していくことが必要でしょう。

いかがでしたでしょうか。
計3回にわたって 同一労働同一賃金とそれが柔軟的な働き方に影響を及ぼしてしまうのかというテーマで綴ってみました。私自身の考えも簡潔に記しました。
初めてシリーズものを書き終えることができました。いやはや。

書いた人
飯田 保夫

社会保険労務士飯田事務所 所長。1981 年埼玉県生まれ。信州大学経済学部卒業、埼玉大学大学院経営管理者養成コース修了。法人の社会保険・ 労務管理支援のほかに、補助金や助成金を活用した経営改善の専門家として、首都圏を範囲に活動。役職:一般社団法人 日本介護福祉支援機構 監事など