2019/04/22
みなさんこんにちは。
ブログ更新を頑張っている 所長の飯田保夫です。
いよいよ「平成」の終わりが見えてきましたね。
この元号改定に対して訴えが起こされたそうです。私個人としては、元号は差別というより区別がついて良いと思うのですが、どうなのでしょう。
さて、
前回に続き、今回は同一労働同一賃金の具体的な例示を考察してみます。
均等待遇に関する法整備が進む中、先行して参照すべき判例が既にいくつか発生しています。
それらの判例の内で、とりわけ私が気になるのが、賞与についての扱いです。
賞与については、正社員と非正規社員とで賞与の支給額、場合によっては支給の有無自体を差別的に取り扱っている会社様も現にあるでしょう。
「パートさんにはきちっとした賞与は支払えないから、気持ちだけ寸志で支払うよ」とされているような中小企業は割と多いのではないでしょうか。
判例や厚生労働省の告示(前回のブログでPDFをアップしております)によりますと、今後、賞与も同一労働や同一成果に対する査定に基づくものであるならば、その支払水準を均衡にせよとあります。
厚生労働省の告示にある「問題にならないケース」「問題になるケース」を読み込んでみますと、要するに、日ごろの業務へのリスク(責任)を負っていて、そのリスク代償が賞与にて支払われるということであれば、賞与の支給額の差は容認しよう、私にはこのように読み取れました。
正社員に対しては日ごろの業績や成績に対する責任相当を追及する形式を採り、それらが不振の際には金銭的ペナルティを実施することとし、給与ないしは賞与のいずれかにおいて、その成績不振に対する責めを負うような設定となっている場合であれば、反対に、良い成果を成しえた際には、その評価が賞与額に反映されるというものが「問題にならないケース」として例示されています。
この仕組みの下では、一方の非正規においては、業績や成績に対する責任が追補されない場合に(日頃の業績や成績に対しては、リスクフリーということになりますね)、正規社員と同一労働に基づく賞与査定については正規社員と差を設けることは抵触しない、とありました。
うむ、なるほど。
“日ごろの責任負担”なのか、この部分はひとまず理解しました。
正規社員は日ごろのリスクを負っている反面、その代償を賞与の金額査定に反映されるという仕組みであれば、非正規との賞与差額については同一労働同一賃金の枠組みでは問題にならないと。
この「問題とならないケース」から気づくこととしましては、金額の差を設けることは容認されていますが、非正規には賞与の支払い自体がない、という扱いはできないという点に気づきます。
こうした中、今後、企業側では、非正規に賞与を支払わないという扱いはできず、かつ、正規非正規において労働内容が同一視されやすいという業界において、非正規にも日頃の成績や業績の責めを課すという考え方に改める企業もあるでしょう。そうした際に、一方の非正規の方々においては、リスクフリーやタイムフリーのメリットを享受するために自らの意思で非正規雇用を選択されている方々には、働き方の柔軟性が損なわれてしまうこととなるかもしれません。国が推進している女性や高齢者において、同一労働同一賃金の下、家計を助けるための労働においては業績の責めを負い、家庭生活との両立を図っていなければならないということになれば、先々で疲弊してしまうことにもなりかねません。
企業・正社員・非正規社員、それぞれの思惑があるところに、同一労働同一賃金 という一本の線が引かれます。
次回は、このシリーズ最後として考えをまとめてみたいと思います。