2020/05/06
皆さんこんにちは。
連日コロナウィルスの報道が続き、「コロナ」という音声に慣れとともに疲れが生じ始めている所長の飯田保夫です。
しかしながら雇用調整助成金の申請等、社会保険労務士という職業者が世に提供できるサービスの重要度もひしひしと感じています。
さて、
当事務所にも多数のご相談や質問が寄せられております。
その中で、“タレントの労働者性”についてのご質問があり、平時であれば当事務所にはあまり寄せられないこうしたご質問に対しまして、参考となる情報を調べてみました。
エンタメ関連業種の会社様の中には、専属とまでは言えないものの、たびたび依頼を出すタレントのような方が在籍していらっしゃる場合があります。ちょっとしたPVの制作、ちょっとしたナレーションの依頼等、ちょっとした時にお願いするような方々なんですかね。
普段は、給与ではなく、消費税課税による外注者としてお支払いを受けているこうした方々が、今回のコロナ禍においては、労働者ではない為政府の救済政策から外れた谷に落ちてしまったように映っているように感じられてしまうのでしょう。職業柄、日頃の収入も不安定であり、タレント活動と並行して勤務時間に裁量が持てるような飲食店にてパートタイム労働と兼ねているような方も多数いらっしゃいます。
そうした中で、タレントにおける労働者性とはどのようなものなのでしょうか。
「彼に対しての救済措置は何か無いのか?」というような会社様側から「彼を何とかしたい」という配慮のあるご質問をいただきました。
幾分過去になりますが、平成8年3月に、当時、労働大臣の私的諮問機関「労働基準法研究会」の「労働契約法制部会労働者性検討専門部会」が芸能関係者について労働者性の判断基準に関する報告書をまとめており、それを眺めてみますと、
タレントは
・使用従属性の実態
・業務遂行の指示指揮命令事情
・報酬額の多寡
・必要資材や道具、衣装の準備事情
これらのような実情から判断されるものであるとされています。
分かりやすい事例としては、大多数エキストラのような方々の一人一人は労働者性が帯びやすく、有名タレントのような方々は労働者性は弱いものと思われますと述べると、イメージが分かりやすいかもしれません。
今回ご相談をいただきました事案も自営業者に近い状態ではないかと思われました。
そうであるからと言って何も救済策が無いということではありません。
自営業者も労働者もそれぞれにおいて救済策が用意されています。
この難局を乗り切りましたら安堵してしまわずに、多少の天変地異が生じても、すぐに足元をすくわれないような日頃の収支や事業経営マインドを紡いでいきましょう。