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地位待遇を変更打診する際  ‐条件低下する場合の対応‐

スタッフブログ

2025.11.05

丸の内の灯り

皆さんこんにちは。

一度ブログを書くと少しエンジンがかかる所長の飯田です。

今年は各地で熊被害が発生しておりますが、
もうすぐ冬眠に向かう時期になるのでしょうか。
冬の歌と言えばということで
『越冬つばめ』(森昌子)
イントロのギターアルペジオの寂しさの裏で
歌い出しまでの高揚感のバランスが絶妙なんです。

夏前に玄関の軒先をツバメが飛び回っていたなと思いきや、
季節の過ぎ去り方は年齢が増すことに二乗に比例して加速しているのではないか。。

洋楽ばかりで攻めていると思っていらっしゃったかもしれませんが、
私、たまに演歌も聴くのです。

しみじみ聴けばしみじみと。。。

画像は、桜田門から丸の内ビル群を眺めたものです。
冬は薄暗くなるのが早いので夕暮れ時になりますと、ビルの灯りが映え始めるのです。
調和して綺麗だなと。



契約条件更改 対応方法 
―成功事例からそののファクター(要素)を抽出―

さて
今回は、契約変更(特に経済的条件を降格する場合)における適切な段取り
について触れてみたいと思います。

ここ最近寄せられるご相談の中には、
「従業員が休みがちであり、このまま正社員ではなくパート社員契約を打診したい」
「家庭の事情により、当初契約を変え、固定的希望休日や時間外対応不可としたい」
等の、会社側(使用者側)としてみますと
「それであれば、現在の賃金諸条件を含めた雇用条件を改めさせてもらいたい」
というような相談事例が重なりました。

そこで
強行的に雇用条件を低下させてしまうのではなく
トラブルを防止し、適切な手順を踏んで契約更改に至るプロセスをご紹介します。
各社の事例に於いて成功事例を重ねてきたものの要素を抽出して取りまとめてみました。


望ましい手順

1_激変緩和を設ける

  
 〈猶予期間を設ける:成績考課・考課後の面談を実施〉
   ・急激な雇用条件の変化を強引に押し付けないこと
   ・条件変化後の勤務時間をシミュレーションする
   ・  〃   生活収支をシミュレーションする
   ・地位待遇の降格案件の場合、現在の職能を一定期間効果測定する
   ・以上のような合理的判断要素を抽出するための労使双方ともに猶予期間
    を設ける 

2_人事案の打診内容およびその打診回数の正当性・合理性

 
 〈客観的・数値的裏付け・現地労働者代表者への意見徴収〉
   ・考課面談時に1度目打診
   ・考課面談のすり合わせを踏まえて2度目打診
       決定事項を押し付けないようにする・当事者からの意見徴収を丁寧に行う    

  ワンポイント!
     現地労働者代表者に対しても意見を徴収し、客観性を担保する。
     (適切な手順で労働者代表が選出されていることが大事ですよ)

面談実施について

1_方法:リアル面談が最も良い

 
  ・効率重視(TELのみorメールのみ)では、互いの語彙理解力に左右され、
   係争が更に深刻化する場合もある
  ・リアルに面談するのが最も良い。
  ・作業的対応(意思表示の確認のみ・事務手続きに関してのみ)であれば
   on-line面談も有効
  ・但し、on-line面談では、”話の余剰”が生まれない
   傾向にあり、互いの意思や解釈がぶつかり合う傾向にある
   ”話の余剰:余分な会話によるほぐし・会話中の表情や心理状態の現れの受取り
   

2_即座に回答を求めないこと

 
  ・決定事項や提案事項に対し、直ぐの回答を求めない
  ・回答留保可能期間の設定  少なくとも10日~14日程度 
  ・提案や打診をした結果、折衷案が生じることもある

3_対応チームの編成の仕方 

 
 〈契約更改打診を行う会社側チーム編成〉
  人事責任者・現場管理者を同席させる
   ・人事責任者〈会社規程・会社方針〉 
   ・現場管理者〈現場実情・当事者への共感者〉

  ⇒“会社からの一方的な強要”にならぬ様、客観性が保たれる場を創出すること
  ⇒とは言え、場の進行が情緒的のみに偏らぬように会社規定扱い者が同席すること

所感

 

労務専門家として私のコメント

 従業員側の立場でも、高賃金の条件下で自身の身を犠牲にし高ストレスを抱えて続けて従事されている方もいらっしゃるでしょう。
諸々の理由があり、その経済的条件を破棄しづらいのかもしれず、えてしてその条件下から離れようとしないばかりに、とうに限界を超えて働いている状態になってしまう方もいらっしゃいます。
 目に見える経済的対価により盲目になってしまう為、見えない代償を支払っていることになってしまいます。
 雇い主側には安全配慮義務が課せられておりますので、時には、合理的判断の一環として、経済条件の低下があるにせよ、労働者に労働条件の更改提示をすべきこともあるものと思っています。



日本を去ったツバメたちは東南アジアで冬を過ごそうです。
環境省の調査によりますと、台湾・フィリピン・マレーシア・インドネシアの辺りで越冬するそうです。

「冬のツバメ」という組み合わせでは、
私、幼稚園児の時分に買ってもらった絵本『幸福な王子』(オスカー・ワイルド)を思い出します。
石像王子のもとを離れずに、そのまま冬を迎えてしまい力尽きてしまった燕。
最後、王子とツバメは天使に連れられ天に召されるという物語だったような思い出が。
小さいながらに布団の中で涙した記憶が蘇ります。

できることであれば
色々な変化があろうとも労使ともに幸福な結末に辿りついてもらいたいものです。


冬に向かう11月初旬。
ヒュウルリララ

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