
皆さんこんにちは。
このところ1970年代のファンクにハマっている所長の飯田です。
『What Is Hip』(Tower of Power)を延々と流しています。
ベース&ドラムのリズム隊が絡み合って動きまくるのです。
も、もう、これしか聴けないっ。
ここのところヘビーローテーションです。
僕が生まれるよりも8年程前の1973年のリリースながら、今聴いても色褪せないファンキーなリズム隊と重厚なホーンセクション部隊の重なりが耳にこびりついてしまって離れません。
これライブで聴けたら最高だろうなぁ。。。
「何がHip(流行)なのか」という曲のタイトル通り
時代によって変わる価値観やトレンドの中で本質的な価値を問うています。
さて
この「本質的な価値とは何か」という問い、
昨年6月14日に公布された事業性融資推進法「企業価値担保権」制度に転じて
今回はブログを執筆してみますよ。
飯田事務所のコアなブログファンの皆さん、今回の記事は“やや難”ですよ。
大丈夫ですか?
しっかりついて来てくださいね!
-企業価値担保権とは-
“企業の価値とは何か”
数値として映る有形の資産価値だけではなく
姿形が見えないものにも担保価値があるのではないか
金融庁HP
https://www.fsa.go.jp/policy/kigyoukachi-tanpo/index.html
形のない資産に光を当てる新制度
“企業における担保物件”と言って分かりやすいのは、土地や建物。
姿形があり、そこから持ち出すことができず、換金による金銭的価値も大きい。
事業を始めたばかりのスタートアップ企業では、初期からこれらのような大きな資産を持って潤沢なスタートが切れたという会社は極めて少ないのではないでしょうか。
しかし、そうした担保価値が手薄な状況下においてこそ、明日の収益を創る為にも事業資金ニーズは相当高いものであったりしますよね。
この新制度では、企業のノウハウ、技術力、顧客基盤といった無形の資産を含めた事業全体の価値に着目し、それをもって担保とすることで、融資ニーズへの充足を加速させ経済発展に寄与するというものです。
これはスタートアップ企業や事業承継を控えた中小企業にとっては大きな意味を持つことでしょう。有形資産は少なくても、独自の技術やサービス、ブランド力などの「本当の価値」を評価してもらえる可能性が広がるということなのです。
・・ところが
労働者保護の検討
光が当たれば影もできる
この制度を実際に利用したとしましょう。
今、ある企業において債務の弁済が滞り、担保権が実行されることとなったとします。
そうした場合に、事業譲渡対価から融資債権を回収することになるため、
労働者保護に関する懸念が顕在化するのです。
特に企業再編に伴う労働関係の調整が重要な課題となります。
これはどういうことか。
あなたが事業を買う企業の責任者だとしましょう。
資金繰りに奔走している企業(売手側)から事業譲渡のオファーが届いた際、
“その事業の価値”や“将来性”を測定しますよね。
対価を払って将来性を買う訳ですから。
そうした際に、売手側の抱える労働者も価値選別の対象となるのが通例であり、この新たな制度の浸透により、融資ニーズによる経済の速度は確かに上がるものの、雇用の不安定さも増すことになるのではないかと懸念されているのです。
さらに具体的に記します。
担保権が実行されると、労働者の選別が行われ、売り手側の被雇用者は解雇とされてしまうケースも想定されるということなのです。
翻って言えば
労働者の価値をも測定される機会が増してしまうのだ、ということなのです。
経済速度を上げることと雇用の天秤
労働政策審議会では、この制度に関連して組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会が設置され、本年3月25日に初会合が開かれました。
「解雇に関する留意事項」として、“承継予定労働者が労働契約の承継に同意しなかったこと、労働者が従事していた事業が譲渡されたことのみを理由とする解雇等は認められないこと”や“承継予定労働者の選定を行うに際し、譲渡会社等又は譲受会社等は、労働組合員に対する不利益な取扱い等の不当労働行為など、法律に違反する取扱いを行ってはいけないこと”が審議されているとのこと。労働者側からは、事業譲渡等指針の法制化も視野に入れた労働者保護の強化が主張されており、使用者側は指針等の認知度が不十分として周知の強化などを求めています。
この企業価値担保権の導入は、融資の在り方だけでなく、事業再生や事業承継の場面にも影響を与える可能性があります。特に中小企業の事業承継問題が深刻化する中、そこで従事している労働者の雇用承継に関しては、人の選別が行われやすく、雇用主としても被雇用者としても、“人的価値とは何か”を考えるシーンがより身近になるかもしれません。
企業価値担保権は、目に見える資産だけでなく、企業の本質的な価値に着目した制度です。
この制度が健全に機能するためにも、事業価値の適正な評価方法や担保権実行時の労働者保護など、検討すべき課題も多くあります。
予定では、令和7年秋頃を目途に意見のとりまとめがされるそうです。
企業の本質的価値を問い直す時代に
What is hip?
What is real worth?
50年以上前にTower of Powerが問いかけた
「何がヒップ(流行)か」という問いは
「何が真の価値か」という問いに代わり「企業の力」の源泉を考えることとなります。
よいしょっと
少し難し目のブログも書き終えたし、気を楽にして曲を流そうかな。
写真は東京都庁本庁舎内の富嶽三十六景です。
富士山も色々な角度から見ると、違う顔を見せるのです。
あなたにとっての富士山とは、どれが本物なのでしょうね。