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精神疾患(うつ等)での労災認定基準につきまして

2016/09/12

労災認定に至るまでの流れ

近年、うつ症状を発症する方が増加してきております。

一昔前とは社会インフラや技術等が変わり、私たちの他者との関わりや、働き方が変わってきているとも言えます。

精神疾患(うつ等)の労災認定におきましては、平成23年12月に認定基準が明確化されました。

この指針によりますと、業務における心理的負荷のモデル事例を挙げた上で、その負荷強度を「強」、「中」、「弱」と分類して判断することになりました。労災として認められるケースは、この負荷が「強」と判断されたものが基本となります。

しかし、仮に「弱」や「中」であったとしても、原因となる事象が複数ある場合等は、統合して「強」の判定がなされることもあります。この強弱の度合いを測定した後、被災者(うつ症状等を発症してしまった労働者本人の事)の個体要因、つまり、本人のストレスに対する耐性力等を測っていき総合的に判定されます。

精神障害の労災認定フローチャート

労災

労災申請をする前に

精神疾患での労災申請を行いますと、ケースによっては直接被災者本人が労基署に出頭しなければならず、ヒアリングや同意書等を求められてしまう事もあり、被災者本人にとってかなりのストレスとなってしまう事もあります。

そこで、まずは勤務先の方が労災申請書類を下書きで作成してあげてみてください。その時点で、管轄労働基準監督署に事前相談を済ませておくと良いです。

労災での認定が難しそうであれば、健康保険制度の傷病手当金などを活用し、本人の家計不安を払拭し回復に向けての環境を整えてあげましょう。

 大切なのは職場環境の形成

現代社会は、情報の行き来が急加速しており、仕事の進め方や職場での人間関係の在り方そのものも変容してきていると言えます。自動車の運転に例えるなら、性能が上がるにつれて最高速度も上がってきておりますが、ドライバー(人間)の視力や反射能力がそれに追いついていけません。

目まぐるしく変化する社会の中で、個人のストレスに対する耐性力も問われるところではありますが、大切なのはそうした社会変化を受け入れて、職場環境を構築していく事だと言えます。

最近では完全自動運転の自動車も話題になっておりますが、肉体的な動作が不要となった際、ドライバー(人間)の存在意義とはどのようなものなのでしょうか。運転というものに対する接し方が変わっていくように、仕事に対する接し方も変わっており、その過渡期において、新旧の仕事の在り方のギャップが生じ、心理的負担も生じやすいのかもしれません。

こうした働き方の変容を見つめ、職場環境を再考する中で、うつ発生の原因対策に努めたいところです。